最近、数名の方から
「速く走ることは才能が大きく関わっているのでしょうか?努力で速くなりますか?」
というご質問をいただき
私なりの考えをお伝えしました。
ポジショントークをすれば
「足は絶対速くなります!全国大会も夢じゃないです!僕がサポートするので頑張りましょう!」
と言った方がいいのかもしれませんが
そうお答えすることはできませんでした。
対価をいただいている立場でそのようなことが言えないのは
「逃げ」と捉えられても仕方ないでしょうが、、
才能はとても大きいです。
だからこそ競技生活を過ごす中で
身に付けて欲しいことがあります。
返信している中で
自分は選手に何を伝えていきたいのか?
改めて考える機会になりました。
頭の中にあるものを外に出してまとめる意味で
今回ブログを書いてみたいと思います。
まず、僕の考え方の1番根っこにあるものは
「速く走るということは、生きる上で役に立たない」
ということです。
お前は意味のないことをお金とって教えてるんか
とツッコミが入りそうですが
こう考えるのは
私自身、競技生活を送る中でこれを勘違いし
「速く走ることができれば生きていける」
と本気で勘違いしていた
失敗経験があったからです。
他のことは考えずに
競技にフルベットして打ち込まないと
考え方で他の人に差をつけないと勝てるわけがない
中学からそんな意識で
足が速くなればいい高校に行ける(もちろん、いいの定義はあやふやです)
足が速くなればいい大学に
足が速くなればいい会社に
こんな具合でした。
しかし現実はそんなに甘くはありません。
大学陸上に入り初めての日本選手権に
そこで、才能あふれる努力の仕方も知っている
本物の選手と出会うことになります。
本物の選手と走る経験をする中で
「これは努力じゃどうにもならんすごい才能だ」
と衝撃を受けました。
オリンピック出場は叶わず
26歳で引退
もちろん「少し速く走れた」ことで採用してくれるところもないですし
ビジネスについて何も学んでいなかったので
社会人として使い物にならず絶望
同級生は社会に出て4.5年目でバリバリ働いている中で
自分は好きなことを突き詰めて頑張っていると思っていたはずが
何も残っていなかったんだな、、
と感じてしまいました。
一旦陸上から離れ、違った環境で生活をしている中
とあることがきっかけで
「速く走る」ことは直接的に使えなくても
速く走るために過ごしてきた時間の中に
得られるものがたくさんある
それを自分なりに気づいて、見つけて
昇華させていかないともったいない!!
と考えるようになりました。
僕が競技生活の中で感じたこと、得ることができた能力、学びはたくさんありました。
①PDCAを回す力
嬉しい、悔しいを素直に感じ表現することはとても大事ですが
それにとどまらず
「なぜダメだったのか?」「何が良くてこの成果に結びついたのか?」
必ず考えること
「このアプローチで練習すれば記録が出る」と仮説を立てて計画通り実行、検証を繰り返す
(遊びの誘いがあっても計画が崩れるなら断るなど)
これは勉強や仕事においても使える能力
必ず振り返りを行い次に活かす
この作業を楽しみながらやれているので
僕はこの能力のおかげで
指導者として毎日少しずつ成長しています。
②自分を冷静に分析し勝てるフィールドで勝負する
本気で上を目指して取り組む中で、
自分より能力が高い人がこんなにいるのか
上には上がいると感じられたこと
その中で
自分はどのフィールドでどう立ち回れば
目標達成への成功確率が上がるのか考えること
(背が低かったので400mハードルに種目移行し全国5位を勝ち取りました)
僕が絵を描くことで全国大会を目指していたら
500年以上かかるか一生無理だと思います
③自分で選択する
いろんな先生、コーチのアドバイスを受ける中で
最初は引き出しがなかったため
全てやってみました。
全て本気で取り組んできた
(わからないことをうやむやにせず
意図を聞く癖付けなど)
ため
それぞれの意図をしっかり汲み取れるようになり
自分で取捨選択をする能力が身に付きました。
SNS全盛の時代
いろんな情報の中からより正しい
自分に合った情報を選ぶ能力は
重要度を増しています。
④正しい方向の努力し目標を達成した時の達成感を味わえた経験
自分の読み通り、計画通りに進み
結果が出た際の喜びは言葉には言い表せません。
小さくても自分なりに立てた目標に向かって努力し
達成できた体験があれば
その後生きていく上で大きな自信になります。
過去を振り返ってばかりでは成長できませんが
僕自身もくじけそうになったときには
「あれだけのことを成し遂げたんだから大丈夫」
と奮い立たせることができ
過去の自分に助けられた経験が何度もあります。
これらのことは僕が関わらせていただいている選手に伝えている
「速く走る方法」には直接つながることではありませんが
速く走るため、競技者として目標を達成するために
本気で取り組んできた時間
「だけ」
が
与えてくれる経験や能力だと思っています。
自主的に目標を持って頑張りたい選手の
その後の人生にも
いい影響が与えられるように。
(大きすぎる目標かな)
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